「これからの30年を迎えるにあたり、枝葉のトレンドではなく、根幹の幹となる部分をしっかり作りたい。そして、社内から人事に異動させるので、伴走して人事を育ててほしい」
ご紹介を通じて出会ったE社の経営者は、初回の相談でこう語られました。創業30年。事業の力で走り続けてきた同社には、専任の人事機能がありませんでした。そして1年前、評価システムの導入に挑戦し、定着せずに終わった経験をお持ちでした。
挑戦しなければ、つまずくこともありません。制度導入に挑んだこと自体が、組織を良くしたいという意志の証です。その再挑戦に、私たちは伴走しました。
副社長×勤続10年の新任人事×弊社。三人四脚のスタート
プロジェクトは、副社長と、社内異動で人事に着任した勤続10年の社員の方との三人四脚で始まりました。会社の文化を深く知る人が人事を担うのは、大きな強みです。
弊社は制度設計のノウハウを提供しながら、一つひとつのプロセスを新任人事の方と一緒に手を動かしました。制度の完成と、人事担当者の育成を、同時に進めるためです。
旧制度は、あえて参考にしない
再構築にあたり、失敗した旧制度は参考にしませんでした。うまくいかなかったものを土台にすると、発想が引っ張られるからです。
代わりに始めたのが、ハイパフォーマー社員と経営幹部への面談です。「E社で活躍する人の共通点」を探り、評価項目は外部の一般論ではなくこの共通点から導きました。30年の文化の言語化から始める、オリジナル制度の追求です。
設計は、人事ポリシー→MVVの再定義→競合調査→等級設計→ミッショングレードシートという王道の流れ。スプレッドシートに集約しつつ、オンライン面談、対面打ち合わせ、各支社への訪問を重ね、現場の実感と乖離しない制度に磨き上げました。
フィードバックを「批判」から「贈り物」に変える評価者研修
E社では、フィードバックが「批判的な話」と受け取られがちでした。そこで評価者研修では、目標設定に加えて、ハロー効果や中心化傾向といった評価エラーの心理学、ポジティブでネガティブを挟むサンドウィッチ型フィードバック、コーチングの基礎とロールプレイまでを実施。知識で終わらせず、実践力まで落とし込みました。
採用は、マーケティングの発想で
採用も新任人事の方と二人三脚です。ターゲットではなく「ペルソナ」を一人の人間として細かく描き、カスタマージャーニーマップを作成。競合調査から独自のポジショニングを見出し、自社の魅力を整理し、候補者が読みやすい求人の構成まで設計しました。
採用120%、売上は毎年110%成長。そして人事が自走を始めた
納得できる評価とフィードバックが根づき、離職率は大幅に改善。採用はエンジニア・専門人材で目標比120%に到達し、売上は支援開始から毎年110%以上の成長を続けています。
そして何より、社内に「人事」が育ちました。伴走を通じて経験を積んだ人事担当の方が、いま自社の制度を自らの手で運用しています。コンサルタントがいなくなったら回らない制度ではなく、自走できる組織を残す。これが、私たちの考える伴走のゴールです。