B社は、組織づくりに無関心な会社ではありませんでした。むしろ逆です。創業3年目には評価制度を導入済み。早くから制度整備に取り組む、組織を大切にする会社でした。
それでも、壁は来ました。事業の成長スピードが、制度と育成の仕組みを追い越してしまったのです。
数値では測れても、キャリアは描けなかった
評価は数値中心。成果は明確に測れる一方、「どうすれば昇格できるのか」という社員の問いに、制度は答えられていませんでした。
幹部はプレイヤーとして第一線で活躍しており、部下の育成に向き合う時間の確保が困難。研修体制が整う前に現場配属された若手が、不安を抱えたまま離職するケースも続いていました。急成長企業なら、多くが一度は通る局面です。
週1日、まず幹部と「方針」を固める
支援は週1日の頻度で、取締役を含む幹部の皆さまとの議論から始めました。制度の細部ではなく、「自社は社員にどう成長してほしいのか」という方針を先に固める。方針が定まってから、人事責任者・人事メンバーと具体の設計を詰める二段構えです。
経営の意思と現場の実務、両方を制度に反映させるための進め方でした。
数値評価に「成長」の軸を足す
再設計の柱は3つです。行動プロセスを評価するコンピテンシー評価。昇格への道筋を示すキャリアマップと目標設定シート。そして評価者向け研修。制度はつくって終わりではなく、評価者が運用できて初めて機能します。
運用はGoogleスプレッドシートでスモールスタート。制度が組織になじんでから、仕組みを育てていきました。
幹部研修は「基礎」と「実践」の二部構成。オンボーディングは入社前から
幹部研修は、マネジメントの基礎を体系的に理解する座学と、ワーク中心の実践編の二部構成。翌日から現場で使える状態にすることを重視しました。
若手向けには、内定者向けの入社前研修と、入社後のオンボーディングプログラムをゼロから設計。研修の一部には弊社が講師として登壇し、現場に立って一緒に育てました。
半年でエンゲージメント18%向上。その先の上場
エンゲージメントサーベイの半年後比較で18%の向上、離職率は11%減少。幹部が育成に向き合えるようになり、社内の信頼関係が着実に深まった結果です。
そしてB社は、上場を果たされました。上場審査で問われる「人的資本の安定性」を高い水準で示せたのは、社員の皆さま全員でつかんだ成果です。
B社の経営幹部の皆さまは、とにかく成長志向でした。既成概念に縛られず、自分たちのオリジナルを追求する。良い組織はコンサルタントがつくるのではなく、こうした経営の姿勢から生まれるのだと、私たちが学ばせていただいた事例です。